都市農業の価値が見直され、2015年には都市農業振興基本法が成立し、都市農地を保全することを目的として、2017年に生産緑地指定の面積要件の引き下げや建築制限の緩和、指定から30年以降も継続するようにと特定生産緑地制度、2018年には、貸しやすくなるよう都市農地貸借円滑化法と制度が整えられました。
面積要件の引き下げ
従来は、500m²未満の農地は生産緑地の要件を満たさず、対象外とされ保全できないことや、道連れ解除という、同じ地区内の隣接する生産緑地が買取り申し出や公共収用等によって廃止されることで、隣の生産緑地までもが指定要件を満たさなくなり廃止となってしまう“道連れ解除”という問題がありました。
このことを受けて、法改正により面積要件を条例で300m²まで引き下げることが可能となましたが。
また、制度の運用改善により、1つの農地が小さくても、同一又は隣接する街区内に複数の農地がある場合、一団の農地とみなして指定可能に(個々の農地はそれぞれ100m²以上)なりました。
建築制限の緩和
建築制限について、従来は、生産緑地地区内では、設置可能な建築物を農業用施設に厳しく限定されていました。
そこで、建築制限の緩和により、農産物直売所や農家レストランなど、以下の施設の設置が可能になりました。
- 製造・加工施設施設
- 生産緑地内で生産された農産物等を主たる原材料として製造・加工する施設
- 直売所
- 生産緑地内で生産された農産物等又は①で製造・加工されたものを販売する施設
- 農家レストラン
- 生産緑地内で生産された農産物等を主たる材料とするレストラン
※生産緑地の保全に無関係あるいは過大な施設(スーパーやファミレス等)を防ぐために、一定の制限がある。
特定生産緑地制度
2022年に生産緑地の当初指定から30年が経過するため、それに先立って、特定生産緑地制度が創設されました。
生産緑地の指定から30年が経過するまでに、生産緑地所有者等の意向をもとに、特定生産緑地に指定されることで、固定資産税・相続税の特例措置が継続できます。
特定生産緑地に指定された後は、買取り申出ができる時期は10年延期され、その後も10年ごとに、延長の可否を判断できます。
全体の約8割が2022年に指定から30年を迎えますが、ひと段落ではあるものの、その後も継続的に指定から30年を迎える生産緑地があります。
当初指定から30年が経過するいわゆる2022年問題と言われる、生産緑地の大幅な減少が懸念されましたが、結果的には約9割が特定生産緑地に移行する見込みとなり、その影響は小さいものに抑えることとなりました。
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