令和5年(2023年)都道府県地価調査(基準地価)~住宅地はコロナ前の水準を上回るなど回復が鮮明に~

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国土交通省が2023年9月19日、各都道府県による令和5年都道府県地価調査(基準地価、令和5年7月1日時点)について、全国の状況をとりまとめて公表した結果によりますと、新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、景気が緩やかに回復する中で、全般的にはコロナ前の水準まで地価が回復しました。

住宅地について、全国平均が2年連続で上昇し上昇率も拡大し、三大都市圏や地方4市、北海道や九州・沖縄地方で上昇した一方で、その他の地方は依然として下落傾向が見らます。

目次

1.基準地価とは(公示地価との違い)

基準地価とは、土地を売買するときの目安となる価格で、都道府県が調査主体として、毎年7月1日時点の約2万地点の「基準地」の地価を、毎年9月下旬に、国土交通省が9月にとりまとめて公表するものです。

用途区分としては、「住宅地」「宅地見込地」「商業地」「工業地」の4つがありますが、ここでは「住宅地」を中心に紹介します。

一方「公示価格」は、国(国土交通省)が調査主体で、毎年1回、1月1日時点における標準地の価格を、毎年3月下旬に公表するものです。

公示地価と基準地価は、調査時点が半年おきであるため、公示地価と基準地価の双方を見ることで、半年ごとの地価の推移を見ることができます。

公示地価の「標準地」が3万数千地点であるのに対し、基準地価の「基準地」は約2万地点とやや少なく、標準地と基準地の重複地点もあります。

2.全国の住宅地・商業地の地価

全国平均で住宅地・商業地ともに2年連続上昇

コロナ禍で停滞気味だった社会経済活動が、新型コロナウイルス感染症の5類への移行もあって本格的に動き出し、地価においても急速な回復が見られました。全国平均では、住宅地と商業地ともに2年連続で上昇となり、商業地は1.5%上昇(前年+0.5%)し、住宅地は0.7%上昇(同+0.1%)しました。

コロナ禍に入る前年の令和元年の上昇率と比べても、住宅地はすでに大きく上回り、商業地も近い水準にまで回復しました。

変動別地点割合も、住宅地は上昇地点が41.6%で6.7ポイント増加し、商業地は上昇地点が50.1%で9.4ポイント増加して過半数を超えました。

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表1 圏域・地方別対前年平均変動率・変動別地点割合(住宅地)

令和3年令和4年令和5年
変動率変動率変動率変動別地点割合地点数
上昇横ばい下落
三大都市圏0.01.02.276.610.413.04,094
東京圏0.11.22.682.69.48.02,487
大阪圏▲0.30.41.162.514.023.51,069
名古屋圏0.31.62.277.17.615.2538
地方圏▲0.7▲0.20.127.816.355.910,417
地方四市4.26.67.593.91.84.3329
その他▲0.8▲0.5▲0.225.616.757.610,088
北海道地方0.31.82.231.818.649.6720
東北地方▲0.8▲0.5▲0.224.713.162.21,914
関東地方▲0.9▲0.7▲0.517.823.658.51,666
北陸地方▲0.4▲0.1▲0.133.518.548.0448
中部地方▲1.4▲1.0▲0.621.917.760.4892
近畿地方▲1.5▲1.1▲0.719.814.166.1764
中国地方▲0.9▲0.6▲0.429.911.558.61,121
四国地方▲1.2▲1.1▲1.08.710.580.8686
九州沖縄地方0.10.71.345.516.637.92,206
全国▲0.50.10.741.614.643.814,511
(注)地方圏の「関東地方」、「中部地方」、「近畿地方」には、三大都市圏の「東京圏」、「名古屋圏」、「大阪圏」は含まない。
(注)「地方四市」とは、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の4市をいう。「その他」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村をいう。

表2 圏域・地方別対前年平均変動率・変動別地点割合(商業地)

令和3年令和4年令和5年
変動率変動率変動率変動別地点割合地点数
上昇横ばい下落
三大都市圏0.11.94.089.75.84.51,527
東京圏0.12.04.391.84.53.7904
大阪圏▲0.31.53.686.09.54.5358
名古屋圏1.02.33.487.54.97.5265
地方圏▲0.7▲0.10.533.617.948.53,650
地方四市4.66.99.098.31.10.6180
その他▲1.0▲0.50.130.218.851.03,470
北海道地方▲0.60.82.230.013.456.5253
東北地方▲0.9▲0.40.127.916.255.9619
関東地方▲0.9▲0.6▲0.319.327.553.2498
北陸地方▲1.0▲0.50.038.719.741.6238
中部地方▲1.4▲0.7▲0.129.725.344.9316
近畿地方▲1.0▲0.50.137.217.345.5231
中国地方▲0.7▲0.10.341.812.345.9390
四国地方▲1.5▲1.3▲1.18.214.777.1245
九州沖縄地方0.10.81.949.515.335.1860
全国▲0.50.51.550.114.335.55,177

3.三大都市圏の住宅地の地価動向

三大都市圏の住宅地の変動率は2年連続で上昇、2.2%の上昇(前年+1.0%)となり(表1)、いずれの大都市圏もコロナ前の水準を上回る水準まで回復を見せました(図2)。

東京圏では千葉県北西部で上昇

東京圏の住宅地は2.6%上昇(前年+1.2%)と三大都市圏で最も高く、名古屋圏は2.2%上昇(同+1.6%)、大阪圏は1.1%上昇(同+0.4%)といずれも上昇率が拡大しました。

東京圏では、特別区で4.2%上昇(同+2.2%)し、23区全てで上昇率が拡大しました。特に豊島区(+6.2%)や文京区(+6.1%)で高い上昇率となっています。

東京圏の郊外部では、市川市の11.3%上昇をはじめ、浦安市(+8.9%)や流山市(+7.2%)、船橋市(+6.7%)、我孫子市(+6.7%)、柏市(+6.2%)といった東京都心への比較的交通利便性が高い千葉県北西部で高い上昇率となりました。

名古屋圏では東海市や三河地域で上昇

名古屋圏の住宅地は2.2%上昇(前年+1.6%)し、名古屋市が3.9%上昇(同+3.1%)し、名古屋市に隣接する東海市では8.4%とさらに高い上昇率となりました。

西三河地域は、自動車産業をはじめとする地域経済が順調に推移し、雇用も安定していることから住宅需要が拡大し、刈谷市で5.6%、安城市で5.4%上昇しています。

大阪圏は緩やかに回復

大阪圏の住宅地は1.1%上昇(前年+0.4%)と比較的緩やかな回復傾向となっています。大阪府の守口市(+3.5%)や寝屋川市(+3.2%)で3%以上の上昇率となったほか、堺市(+2.8%)や大阪市(+2.5%)、神戸市(+2.4%)といった政令指定都市で高い上昇率となっています。

4.地方圏の住宅地の地価動向

地方四市では札幌市を筆頭に高い上昇率

地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は、住宅地が7.5%上昇(前年+6.6%)と高い上昇率で、上昇率も拡大しました(表1)。

住宅地について、札幌市が12.5%上昇(同+11.8%)と最も高い上昇率となっています。次いで福岡市8.2%上昇(同+6.5%)、仙台市7.1%上昇(同+5.9%)となっており、全国の政令指定都市の中でも上昇率上位3位を占めています。

北海道地方と九州・沖縄地方の住宅地が上昇

地方圏では、住宅地は0.2%下落(前年▲0.7%)となり、依然下落しているものの下落幅はわずかとなりました。(表1)。

地方別(三大都市圏を含まない)に見ると、住宅地については北海道地方が2.2%上昇(同+1.8)、九州・沖縄地方が1.3%上昇(同+0.7%)となりました。その他の地方は依然として下落となっています。

四国地方の住宅地の下落地点割合が8割以上

四国地方の住宅地の変動率は1.0%下落で最も低く、住宅地の変動別地点割合でも(表1)、四国地方の上昇地点はわずか8.7%で、下落地点が80.8%を占め、他の地方と比べても特に下落傾向が強い状況が続いています。

四国4県の下落地点割合を見ると(表3)、愛媛県が86.9%で最も高く、次いで徳島県(81.1%)、高知県(74.7%)、香川県(74.0%)と、全国の下落地点割合上位6県のうち4県が四国地方となっています。

5.都道府県別の住宅地

沖縄県の住宅地が8年連続で上昇率1位

都道府県別に見ると、沖縄県の住宅地の変動率が4.9%上昇(前年+2.7%)と上昇率も大きく拡大し、9年連続で上昇、8年連続で全国1位となりました(図3、表3)。

那覇市では住宅地が3.3%上昇し、中部のうるま市(+6.2%)や沖縄市(+5.0%)ではさらに高い上昇率となっています。

また、宮古島市では17.7%上昇と県内で最も高い上昇率となりました。島外からの需要が継続し、特に景観が良好なエリアでの需要が高まっています。

図3 都道府県別住宅地の対前年変動率

福岡県は福岡市近郊の住宅地で地価上昇

福岡県の住宅地は3.3%上昇となり(前年+2.5%)、沖縄県に次いで全国2位となりました。福岡市は8.2%上昇し、特に博多区(+13.2%上昇)や中央区(+10.0%)など市中心部で高い上昇率となっています。

また、福岡市への通勤圏内にある、古賀市(+11.2%)と小郡市(+10.1%)で10%を超える高い上昇率となったのをはじめ、大野城市(+8.9%)、福津市(+8.7%)、宇美町(+8.2%)等においても高い上昇率となりました。福岡市内の地価が上昇を続ける中で、福岡市の通勤圏で地価が割安なエリアの住宅需要が高まり、地価が上昇しています。

北海道は札幌市近郊や帯広市、リゾート地で上昇

北海道の住宅地の変動率は、2.2%上昇し(前年+1.8%)、上昇率も拡大しました。

札幌市では12.5%上昇(同+11.8%)し、札幌市に近接する千歳市と恵庭市(ともに+24.8%)をはじめ、北広島市(+23.2%)、江別市(18.3%)などで特に高い上昇率となりました。これらは札幌市に近いだけでなく、千歳市では半導体メーカーラピダスによる最先端半導体工場新設や、北広島市ではプロ野球北海道日本ハムの複合開発「ボールパークFビレッジ」開業など、それぞれ地域経済に大きな影響のある大規模開発により地価が上昇しています。

道東の中心都市帯広市でも12.9%上昇(同+9.8%)と高い上昇率となりました。住宅需要が高まる中で宅地供給が不足しており、地価の上昇が続いています。その結果、隣の芽室町(+15.0%)や音更町(+10.2%)でも高い上昇率となっています。

また、ニセコリゾートで知られるニセコ町をはじめ、隣接する留萌町(+14.5%)や真狩村(+14.2%)でも高い上昇率となっています。

上昇地点の割合は東京都が全国1位

都道府県別の住宅地の上昇地点の割合を見ると(図4、表3)、東京都が91.9%で昨年に続き全国1位となり、次いで、沖縄県(84.8%)、神奈川県(80.2%)、愛知県(73.2%)の順となっています。

図4 都道府県別住宅地の上昇地点の割合

5県は依然として1.0%以上下落

住宅地の変動率が下落したのは28県、うち5県が1.0%以上の下落率となっており、依然下落傾向が続いています(表3)。
最も下落率が大きかったのが愛媛県で1.4%下落、次いで、鹿児島県(▲1.2%)、徳島県と山梨県(ともに▲1.1%)、新潟県(▲1.0%)となっています。

住宅地の下落地点の割合を見ると、下落地点が50%以上の県が27県あり、うち9県が70%以上となっています。
最も下落地点の割合が高いのはこれも愛媛県で86.9%を占めており、次いで徳島県(81.1%)、新潟県(78.0%)、和歌山県(77.9%)などとなっています。

表3 都道府県別変動率と変動別地点割合(住宅地)

CD都道府県令和3年変動率令和4年変動率令和5年変動率令和5年上昇地点割合令和5年下落地点割合
1北海道0.31.82.231.849.6
2青森県-1.1-0.9-0.618.858.3
3岩手県-0.8-0.60.131.855.7
4宮城県0.31.31.742.947.5
5秋田県-1.6-1.1-0.820.272.3
6山形県-0.9-0.4-0.227.257.6
7福島県-0.5-0.5-0.321.659.5
8茨城県-0.500.323.340.4
9栃木県-0.9-0.7-0.525.457.4
10群馬県-1.2-1.1-0.916.967.1
11埼玉県-0.10.81.564.621.3
12千葉県012.561.224.1
13東京都0.21.5391.91.7
14神奈川県-0.20.82.180.28.4
15新潟県-1.2-1.1-116.378.0
16富山県-0.5-0.4-0.421.448.3
17石川県0.30.90.653.436.4
18福井県-1.3-1.2-0.919.763.8
19山梨県-1.3-1.2-1.16.970.4
20長野県-0.9-0.7-0.525.761.0
21岐阜県-1.6-1.2-0.913.070.3
22静岡県-1.2-0.9-0.526.956.7
23愛知県0.21.52.173.214.6
24三重県-1.6-1-0.526.463.2
25滋賀県-1.3-0.9-0.430.256.5
26京都府-0.6-0.20.545.736.7
27大阪府-0.20.41.367.717.7
28兵庫県-0.8-0.10.648.138.4
29奈良県-1.2-1-0.821.863.5
30和歌山県-1.4-1.1-0.814.577.9
31鳥取県-1.1-0.9-0.815.569.8
32島根県-1.1-1-0.914.369.8
33岡山県-1.1-0.7-0.527.263.4
34広島県-0.7-0.3041.851.4
35山口県-0.6-0.5-0.337.348.9
36徳島県-1.3-1.2-1.18.281.1
37香川県-1-0.8-0.616.374.0
38愛媛県-1.6-1.5-1.44.286.9
39高知県-0.8-0.7-0.611.474.7
40福岡県1.52.53.366.222.1
41佐賀県-0.30.10.537.648.1
42長崎県-1-0.7-0.431.964.1
43熊本県-0.20.20.741.835.8
44大分県00.20.734.743.1
45宮崎県-0.5-0.4-0.222.829.1
46鹿児島県-1.4-1.3-1.218.265.8
47沖縄県1.62.74.984.82.1

表4 都道府県別変動率と変動別地点割合(商業地)

CD都道府県令和3年変動率令和4年変動率令和5年変動率令和5年上昇地点割合令和5年下落地点割合
1北海道-0.60.82.230.056.5
2青森県-1.2-1.0-0.811.059.3
3岩手県-1.9-1.7-1.215.562.0
4宮城県1.62.73.962.524.0
5秋田県-1.8-1.3-0.723.367.8
6山形県-1.3-0.7-0.424.656.9
7福島県-0.7-0.50.136.651.5
8茨城県-0.20.30.625.332.6
9栃木県-1.0-0.8-0.619.667.6
10群馬県-0.9-0.8-0.428.150.0
11埼玉県-0.31.02.068.412.0
12千葉県0.42.03.770.114.2
13東京都-0.32.04.597.90.2
14神奈川県0.81.94.385.88.2
15新潟県-1.3-0.9-0.817.171.4
16富山県-0.40.10.436.835.3
17石川県-1.1-0.30.560.033.3
18福井県-1.4-1.1-0.816.356.3
19山梨県-1.2-0.9-0.64.575.0
20長野県-1.3-1.0-0.419.157.3
21岐阜県-1.9-0.90.025.344.6
22静岡県-1.2-0.6-0.230.646.3
23愛知県1.02.33.484.37.5
24三重県-1.6-0.8-0.141.044.6
25滋賀県-0.50.00.649.434.1
26京都府-0.61.43.071.417.6
27大阪府-0.91.64.393.90.0
28兵庫県-0.60.41.765.224.1
29奈良県-1.10.00.943.523.9
30和歌山県-1.2-0.9-0.522.260.0
31鳥取県-1.5-1.3-1.18.674.3
32島根県-1.3-1.1-1.019.666.1
33岡山県-0.70.20.747.436.8
34広島県-0.20.71.360.533.6
35山口県-0.8-0.6-0.337.648.2
36徳島県-1.8-1.7-1.60.080.9
37香川県-1.0-0.8-0.510.075.0
38愛媛県-1.7-1.5-1.314.176.1
39高知県-1.2-1.0-0.84.577.3
40福岡県2.74.05.376.414.4
41佐賀県-0.40.11.333.937.1
42長崎県-0.8-0.40.047.349.1
43熊本県-0.50.11.743.035.5
44大分県-1.2-0.8-0.429.354.9
45宮崎県-1.2-0.9-0.610.343.7
46鹿児島県-1.8-1.5-1.324.065.4
47沖縄県0.71.94.894.82.6

6.今後の住宅地の地価の見方

今回の基準地価では、新型コロナウイルス感染症の影響による停滞から抜け出し、社会経済が本格的に動き出したことにより、全般的に地価はコロナ前の水準への回復が明確となりました。特に住宅地についてはコロナ前の水準を上回っており、コロナ禍による落ち込みをすでに帳消しにした形です。

近年の大都市中心部等の特定のエリアでは、マンション価格高騰に見るように富裕層や投資目的での購入が多く、海外からの投資も円安が後押しし、実需を超えて需要が高まり地価を押し上げています。
その結果として、一方の一般的なサラリーマン層等の実需としては、実質賃金が減り続ける中で、大都市中心部に近いエリアの住宅は手が届かなくなり、比較的交通利便性の高い郊外の割安な住宅の人気が高まり、これらの地域の地価も上昇しています。

これらの地価上昇の動きは、投資マネーなど実需を超えた部分が大きく、特に円安など変動の激しい要因に左右されるため不確実性が高く、今後の見通しを立てることは非常に難しいと言えます。

一方、現在地価が上昇している大都市も含めて、すでに人口減少が始まっている。今後の出生率上昇も期待することは難く、団塊の世代が後期高齢者となり、ほぼ確実に今後人口減少は加速する。
実際に地方圏の中小の市町村では、地価の下落が止まらない。少子高齢化により人口が減少するうえに、大都市への人口流出も進み、人口減少が加速している。

ただ、一部の地域では、インバウンド需要を取り込んだ観光地や最先端分野の工場など、活発な地域経済を背景とした地価上昇も見られます。

それぞれの地域に即して、人口や経済の動向を把握し、今後の宅地需要を見通していくことが大切でしょう。

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