平成30年住生活総合調査結果
国土交通省は8月7日、平成30年住生活総合調査(確報集計)を公表した。この調査は、住生活全般に関する実態や居住者の意向・満足度などを総合的に調査したもので、5年ごとに実施され、今回の調査時点は平成30年12月1日現在である。この調査結果のうち、本稿では主に借家について取り上げることとする。
この調査結果によると、民営賃貸住宅では、住宅に関して「広さや間取り」や「日当たり」が、居住環境に関して「治安」や「通勤・通学の利便」、「日常の買い物などの利便」が特に重視されており、最近5年間で住み替えた世帯の目的では、「通勤・通学の利便」が4割以上と圧倒的に多い。
また、借家に住んでいる世帯の4割近くが「できれば住み替えたい」意向を持っており、このうち「借家から借家への住み替え」意向が4割以上を占め、前回まで多かった「借家から持ち家への住み替え」意向を上回った。
1.住宅及び居住環境に対する評価
■総合的な評価(借家)
借家の住宅及び居住環境に対する総合的な評価に関して(図1)、満足率(「満足」+「まあ満足」)は継続して増加しており、昭和58年の51.2%から平成30年には74.2%にまで増加した。
借家の住宅に対する評価に関して、満足率の経年変化を見ると(図2)、総じて増加しており、これまでの調査で最も満足率が低かった昭和63 年の35.0%から平成30 年には66.5%にまで増加した。
図 1 住宅及び居住環境に対する評価(借家)
図 2 住宅に対する評価(借家)
■住宅及び居住環境に関して重要と思う事項
住宅に関して重要と思う事項について、民営賃貸住宅では(図3)、「広さや間取り」が40.9%と最も多く、次いで「日当たり」(39.7%)、「防犯性」(30.9%)、「地震時の安全性」(30.0%)、「収納の多さ、使い勝手」(29.9%)などとなっている。
その他、「遮音性」(22.5%)や「プライバシー確保」(18.1%)、「水回りの広さ、使い勝手」(17.7%)については、全世帯に比べて割合が高く、賃貸住宅ではかなり重視されている。
図 3 住宅に関して重要と思う事項(全世帯・民営賃貸住宅)
居住環境に関して重要と思う事項について、民営賃貸住宅では(図4)、「治安」が44.4%と最も多く、次いで「通勤・通学の利便」(39.8%)、「日常の買い物などの利便」(38.9%)などとなっており、これらの上位3つの事項は全世帯と比べても高い割合を占めている。
一方で、「医療・福祉・文化施設」や「近隣の人やコミュニティとの関わり」などについては、全世帯に比べて割合が低く、民営賃貸住宅では比較的重視されていない。
図 4 居住環境に関して重要と思う事項(全世帯・民営賃貸住宅)
■住居費負担(借家)
借家における住居費負担に対する評価を見ると(図5)、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が50.5%と最も高く、次いで「ぜいたくを多少がまんしている」が22.4%、「家計にあまり影響がない」が16.2%、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」が7.8%となっている。