平成30年住宅・土地統計調査の土地集計結果が公表される
総務省は3月27日、平成30年住宅・土地統計調査の土地集計結果を公表した。これによると、現住居の敷地を所有している世帯の割合は48.1%、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯の割合は13.1%でいずれも減少傾向が継続している。一方、現住居の敷地以外の宅地などの取得方法は、「相続・贈与で取得」が60.8%で5年前に比べて増加している。
(注)調査時期は、平成30年10月1日現在のもの。本稿では土地集計で公表された結果のうち、調査票乙及び建物調査票を用いた集計結果を基に作成(他に調査票甲がある)。
1.世帯が所有している土地の状況
(1) 現住居の敷地以外の土地を所有している世帯は13.1%で減少傾向
普通世帯5,389 万2千世帯のうち、現住居の敷地を所有しているのは2,590 万6千世帯で、半数弱の48.1%を占めている。また、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯は705 万4千世帯で普通世帯の13.1%を占めている。このうち現住居の敷地以外の宅地などを所有している世帯は464 万4千世帯(同8.6%)となっている(表 1)。
2003年以降の住宅及び土地の所有率の推移をみると(図 1)、現住居以外の土地を所有している世帯の割合は減少傾向が続いている。一方、現住居の住宅所有率は前回までの減少から、今回は増加に転じた。
都道府県別にみると(表 1)、現住居の敷地を所有している割合は、秋田県(68.4%)、富山県(65.7%)、新潟県(64.9%)などの東北や北陸地方等で高く、東京都(27.8%)、沖縄県(28.9%)などで低い。また、現住居の敷地以外の土地を所有している割合は、島根県(28.4%)、秋田県(27.1%)、岩手県(26.2%)など東北や山陰地方等で高く、東京都(5.4%)、大阪府(6.1%)、神奈川県(6.9%)などの大都市圏では少ない。
(2) 現住居の敷地以外の宅地などの所在地は「現住居と同じ市区町村」が7割
現住居の敷地以外の宅地などの所有件数について、所在地別に割合をみると、「現住居と同じ市区町村」が70.5%と最も高く、次いで「自県内」が15.1%、「他県」が14.4%となっている。
(3) 家計を主に支える者の年齢が高いほど土地の所有率が高い
現住居の敷地を所有している世帯について、家計を主に支える者の年齢階級別に割合をみると、年齢階級が高くなるほど所有している世帯の割合が高い傾向が見られ、「60~64 歳」から「85 歳以上」までの区分ではいずれも6割以上を占めている。
また、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯についてみると、こちらも同様の傾向となっており、「60~64 歳」から「85 歳以上」までの区分ではいずれも2割以上を占めている。
(4) 世帯の年間収入が高いほど土地の所有率が高い
現住居の敷地を所有している世帯について、世帯の年間収入階級別に割合をみると、年間収入階級が高くなるほど所有している世帯の割合が高い傾向が見られ、「400~500 万円未満」で5割、「1000~1500 万円未満」で7割を超え、「2000 万円以上」では78.8%と最も高い。
現住居の敷地以外の土地を所有している世帯についてみると、こちらも同様の傾向となっており、「1000~1500 万円未満」で2割を超え、「2000 万円以上」では39.4%と最も高い。
(5) 農林・漁業業主をはじめ「自営業主」は土地の所有率が高い
現住居の敷地を所有している世帯について、家計を主に支える者の従業上の地位別に割合をみると、「自営業主」が76.8%と高く、このうち特に「農林・漁業業主」が92.1%と最も高い。
また、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯についてみると、こちらも同様の傾向となっており、「自営業主」が38.0%と高く、このうち特に「農林・漁業業主」は73.4%と最も高い。
2.世帯が所有している現住居の敷地以外の宅地などの状況
(1) 世帯の年間収入階級が高くなるほど宅地等所有件数は多い
現住居の敷地以外の宅地などを所有している世帯について、1世帯当たり所有件数は1.5 件となっている。これを世帯の年間収入階級別にみると、年間収入階級が高くなるほど1世帯当たり所有件数は多い傾向が見られ、「2000 万円以上」では2.6 件と多くなっている。
(2) 現住居の敷地以外の宅地などの取得方法は「相続・贈与で取得」が6割
現住居の敷地以外の宅地などの所有件数について取得方法別に割合をみると(表 2)、「相続・贈与で取得」が60.8%と最も高く、次いで「個人から購入」が22.2%、「会社・都市再生機構などの法人から購入」が11.8%などとなっている。5年前には「相続・贈与で取得」が55.7%で、今回5.1ポイント増加した。
都道府県別にみると、北海道(30.5%)、青森県(30.1%)、鹿児島県(29.5%)などでは個人からの購入割合が高く、北海道(45.3%)では相続・贈与で取得の割合が低くなっている。
(3) 現住居の敷地以外の宅地などの利用は「居住用の敷地として」が5割
現住居の敷地以外の宅地などの所有件数について、利用現況別に割合をみると(表 3)、「住宅用地・事業用地」が95.1%となっている。このうち特に、「居住用として利用」が51.0%と最も高く、一方で「利用していない(空き地)」が15.1%ある。
都道府県別にみると、「住宅用地・事業用地」の割合は、大阪府(98.5%)、神奈川県(98.0%)、東京都(97.9%)などの大都市圏で高く、このうち居住用では東京都(70.8%)、神奈川県(66.8%)、大阪府(59.2%)などの大都市圏が、事業用では佐賀県(17.8%)、岐阜県(17.6%)、和歌山県(17.3%)などの地方圏が高くなっている。