第28回JA全国大会決議採択
JA全中は3月7日、第28回JA全国大会を東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で開き、2019年度から3年間のJAグループ共通の取り組み方針となる大会決議を採択した。
「創造的自己改革の実践」を主題に、引き続き「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」を基本目標とする自己改革を継続。改革の実践を支えるため、JAの経営基盤の確立・強化にも重点課題として取り組むとした。
本決議の中から、「ファーマーズマーケット」「体験型農園」「相続・事業承継」に関連した内容を抜粋して紹介する。
Ⅰ.JAグループ共通の取組方向
2.具体的な取組方向
(2) 連携による「地域の活性化」への貢献
- JAグループは、環境変化や地域ごとに大きく異なる実態をふまえ、JAの支店やJAファーマーズマーケット等の拠点施設を組合員との接点のフロントと
して、総合事業やJAくらしの活動を展開し、組合員のニーズに応えます。
(5) 「食」「農」「協同組合」にかかる国民理解の醸成
- JAは、支店・JAファーマーズマーケット、JAが行う様々な行事・イベントを重要な情報受発信の場として活用するなど、他部門・支店・事業所との連携をはかり、訴求対象ごとの関心や特性に応じた広報活動を実施します。とりわけ、もっとも身近な消費者である准組合員に対して地域や地域農業の実情等への理解を深めます。
Ⅱ.JAグループの取組実践方策
1-1.「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」へのさらなる挑戦
(2)マーケットインに基づく生産・販売事業モデルの確立
④JAファーマーズマーケットの生産体制の強化と既存店舗の再編
- JAは、農業者と消費者を結ぶ販売拠点としてJAファーマーズマーケットを位置づけ、消費者ニーズを把握するとともに、出荷者との情報共有を通じて売れる農産物の生産販売提案や品揃えの充実、農産物加工・6次産業化による付加価値向上等、出荷者の生産拡大・所得増大に取り組みます。
- JAは、開設時期や周辺地域の環境変化等をふまえ、事業収支の改善を要する年間販売高1 億円未満等の店舗は、販売高の拡大や人件費・業務費の見直し等により運営改善をはかります。さらに、事業継続が困難と見込まれたり、将来的な出荷量の不足が懸念される場合は、店舗再編をすすめます。
- JAは、出荷者の高齢化をふまえ、生産・出荷体制を継続するため、集荷拠点の整備や店舗間転送を構築するとともに、全組合員を対象に新たな出荷者の掘り起こしに取り組みます。
(5)地域実態をふまえた担い手育成・確保と労働力支援
①農業経営継承の取り組み強化による後継者確保
- JAは、正組合員の経営全体の承継を総合的にサポートする支援・相談体制を構築し、「相続」や「事業承継」にかかる取り組みをすすめるとともに、親元就農者等を増やすことにより、次世代の組合員との関係を強化します。
⑦多様な担い手の育成による地域農業の振興
- JAは、自給的農家や定年帰農者等の地域の多様な担い手のうち営農意欲の高い組合員を対象として、将来的なJA ファーマーズマーケット等への出荷を見据え、農業塾や栽培技術講座を実施し、自給的農家から販売農家へのステップアップに取り組みます。
1-2.JAグループがめざす持続可能な農業の実現に向けた基本政策の確立
(3)農村・地域政策
③都市農業の農業振興にかかる取り組み
- JAグループは、平成27 年4月に施行された「都市農業振興基本法」や平成30 年9月に施行された「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」などとそれに基づく一連の制度改正を活用し、都市農業者と地域住民の懸け橋としての役割を積極的に果
たし、都市農業の振興・理解促進に取り組みます。 - JAは、JAファーマーズマーケットの運営、学校給食への地場農畜産物の提供、農作業受託、新規就農支援等により、地元へ新鮮で安全な農畜産物を提供します。加えて、体験型農園・学童農園等の開設・運営支援や防災協定の仲介等を通じて、
都市農業の多様な機能発揮を促し、都市農業の振興と良好な都市環境の形成を支援します - JAは、農業者の意向を把握の上で、2022 年問題※に向けた特定生産緑地の指定促進や生産緑地制度の運用改善、地方圏における導入促進など、自治体との協議を通じて都市農業関連制度を誰もが活用できる環境の整備をすすめます。
- JAは、農業委員会とも連携の上で、相続相談等を通じて、生産緑地制度や相続税納税猶予制度など各種税制度の周知・活用提案と営農継続への支援を徹底することで、農地を農地として活用する選択の幅を広げます。
2.連携による「地域活性化」への貢献
(1)JA総合事業を通じた生活インフラ機能の発揮
①多様な拠点を活かした生活インフラ機能の発揮
- JAグループは、全国の支店、JAファーマーズマーケット、医療・高齢者介護施設等を拠点として、総合事業を通じたサービス提供により、地域における生活インフラ機能の一翼を担います。
(2)JAくらしの活動を通じた地域コミュニティの活性化
②「田園回帰」の動きに対応した「食と農、地域とJAを結ぶ」取り組み
ウ.地域交流拠点としてのJA ファーマーズマーケット
- JAは、「食と農、地域とJA を結ぶ」取り組みの実践にあたって、組合員・地域住民との接点であるJA ファーマーズマーケットを地域の交流拠点と位置づけ、地域実態に応じて、以下の取り組みをすすめます。
- JAファーマーズマーケットを会場とするJA くらしの活動(JA まつり、農業まつり、食農教育、料理教室、子育て支援等)の実施
- 体験型農園、農家レストラン等の食と農の関連施設の併設
- 地域住民の交流スペースの設置
- JAは、団塊の世代のアクティブシニアや地方移住者を対象として、栽培技術を学ぶことのできる農業塾を設置し、将来的なJA ファーマーズマーケットへの出荷を促します。